エアコン(暖房)が効かないその理由1

冬に窓のそばに近寄ると冷気を感じたり、ベッドの横に窓があると窓から冷気を感じたり家の中で一番冷たくなるのは窓ですね。一番わかりやすい話としてガラスを使ってお話を進めることとします。もし仮にすべてがガラスでできているお部屋があったとして、断熱性能の違いによって体感温度がどのように変われるのかを実測したデーターを使って計算をしてみたいと思います。

下の写真は平成22年2月の雪の日に自宅リビングの窓の温度を記録したものです。わざと6つの枠には断熱性能が違うガラスをはめ込んでいます。

 

室温:21.3℃ 外気温2.1℃ 壁表面温度21.0℃

 ガラスの中央に温度センサーを貼り付けて、窓ガラスの表面温度を測りました。そのデーターが下です。

ガラスの種類 表面温度

単板硝子

9.5℃

ペアガラス

15.4℃

真空ガラス(Low-E)

20.3℃

 

 

◎体感温度を求める

さて、ここからが本題です。体感温度を求めることにします。体感温度は簡易的には下の式から求めることができます。

 

 

この式に当てはめて体感温度を求めたいと思います。室温(エアコンの設定温度)はセーターであれば快適であろう21度を想定することにしましょう。その計算結果が下です。

 

窓ガラスの種類

表面温度

体感温度

単板硝子

9.5℃

15.25℃

ペアガラス

15.4℃

18.2℃

真空ガラス(Low-E)

20.3℃

20.65℃

 

単板硝子で囲まれたお部屋ですと体感温度は15.25度。こてでは寒くて暖房の温度設定を上げたくなるはずです。一番断熱性能が高い真空ガラス(Low-Eタイプ)は20.65度と、エアコンの温度設定との差は0.35度しかありません。

 

◎暖かいと感じるには何度に設定すべきか

では単板硝子の温度を壁と同じ21度まで窓ガラスの温度を上げるには、室温=暖房の温度を何度まで上げなければいかないのかを計算してみます。

 

 

エアコンの温度は21度では足りなくて希望する21度よりも6度も高い27度に設定しなければならないことになります。これに比べ、断熱性能が高い真空ガラスであればエアコンンの設定温度は21度で良いことが分かり、単板硝子と比べて6度分少ない、つまりは6度分エネルギーを節約できることになりますこのように断熱性能が決まれば、部屋を暖めるために必要な熱量を割出し、ベストチョイスな暖房機器選択することもできます。

 

エアコン(暖房)が効かないその理由2

空気は暖かいと軽くなり上に上がり、冷たいと重くなり下に降りてきます。下の図は断熱性能の違いによりエアコンから噴き出した温風がどのように拡がるっているのかその様子を熱画像処理した図です。

 

 

断熱性能が低い一番左の図(築20年以上の住宅に多い断熱レベル)では冷たく重い空気が床付近には漂っていています。エアコンから下向きに暖気を噴きだしても暖かい空気は軽いため床に到達できないでいます。これでは足元がちっとも暖まりません。

 

真ん中の図(築15年未満の住宅に多い断熱レベル)は断熱性能が上がっているのですが、それでも不足で左と差が判りません。

 

一番右の図(平成11年省エネ基準=現行の省エネ基準強化断熱)でようやく暖気は床に達し、全体的に朱色になっています。

 

床から天井までの温度差は非常に少なく全体的に暖まっている様子がよく分かります。温度調整を司る自立神経は5度以上の急激な温度変化には対処しにくく、その意味でも上下の温度差がないことは重要です。また、暖かい空気で満たされているので、喉を痛める乾いた強い温風は不要となり、エアコンの温風も緩やかな運転ですむことがお分かりいただけるはずです。断熱性能をこの程度まで持っていけば床暖房でも十分にお部屋全体を暖めることができます。

 

 

断熱リフォームとは

・省エネ

・快適性の向上

・健康保全

この3要素を手にするスマートなリフォームであるべきです。

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